6.07.2014

fbまとめ ヴィオラ・ダモーレ ボローニャ



haja&Chi
イタリア ヴァイオリン チェロ 作家
永石勇人 清水ちひろ





Viola d'amore bologna 01

ヴィオラ ダモーレの内枠です!

 10枚も横板がありそれぞれクビレています
クビレの部分は補強無しの布ばりです。古楽器やかのストラディヴァリも使っていたテクです!
 近年見直されつつあり当工房でもチェロに貼ることも・・・

 さて、ヴィオラ ダモーレには色々な形があり作者のファンタジーによりけりです。
 今回はイタリア、ボローニャの製作家のモデルですがドイツのフォームに似ています。



Viola d'amore bologna 02

横板の着いたヴィオラ ダモーレ・・・

 いつもと違う横板まげに苦労いたしました・・
ヴァイオリンの比ではありません・・トホホ・・

 少し込み入った状態。ニカワ無しの仮どめです。










Viola d'amore bologna 03

大まかな輪郭を切り出しています。

 いちばん苦手な作業のひとつ。。
肩はこるし、右手の中指の爪はガリガリに・・・もちろん最近は専用の台などもこさえましたが・・・・

手や爪の綺麗な楽器職人はそうそういません。

そろそろ仕事で体も変形してきました(( ̄_ ̄*) 







Viola d'amore bologna 04

裏板の荒削り

 隆起はヴァイオリンの様なものをイメージしています。
今回の材は少しねっとりした感じでした。

 横方向にやらかめでしたのいわゆるモード2が落ちやすくなります。楽器の形状は曲線が多く縦方向に固めですので#2と#5のバランスがとりにくくなると予想しています。。ゆくゆく五郎次郎。(@゚ー゚@)



Viola d'amore bologna 05
(ヴィオラ・ダモーレ ボローニャ 五)

sguscia(ズグッシャ)と呼ばれています。なぜでしょう!?

 皮や殻をむく事。ヴァイオリン製作専門用語。

 楽器のふちの皮をホィッっとむく雰囲気です・・・
この行程はヴァイオリンなどでもおなじみの作業です。

 この作業は結構好きです。。ヽ(=´`=)



viola d'amore Bologna 06

 隆起づくりをしています。いつもの等高線を引きながらの確認作業です。
 削っては描き、削っては描き直しと、、気付くと辺りはとっぷり暮れて真っ暗に・・・













Viola d'amore Bologna 07

 隆起が仕上がりました。いかがでしょうか・・!? 

 ヴィオラ・ダモーレは6~7弦張られるので弓の反しが効くように隆起を高くします。
 ヴァイオリンよりも8ミリ高くなっています。とても立体的になり存在感がUPしますねヽ(=´`=)











Viola d'amore Bologna 08

そして音響孔の仕上げ

 この彫り込みはヴァイオリン、チェロなどにも施されていますね。
 この返りのカーブこそ先人のあみ出したイタリアン・デザインの象徴です。
 なぜここに!?の意外なタッチが出来上がった楽器に美しい陰影をつけます・・
 音響のためなどとも諸説ありますが・・外観を重視するイタリア文化。綺麗だからのためだと信じています。






Viola d'amore Bologna 09

 厚みだし・・語る事は多くはないのですが・・・

 いつものようにいつもの方法で削っています。。
楽器の音は厚みよりも輪郭にかなり影響される手応えがあるので、今回のようなイレギュラーなモデルは手こずりました。



 弦のテンションがモダン・ヴィオラの2倍近くになるので隆起との兼ね合わせで試行錯誤です。。







Viola d'amore Bologna 10

 裏板の荒削り・・

 細か過ぎて伝わらないものの一つですが、裏板の右と左が色が違います。

 ヴァイオリンでは避けたいこの光の反射の違いは木が斜めに切られると顕著になります。
 今回はこの効果を狙って傾けて板を接着しています。

こんなところもヴィオラ・ダモーレです。










Viola d'amore Bologna 11

そして光輪が!

 ヴィオラ・ダ・ガンバやごく稀にチェロなどにもついているロゼッタがはいります。

 ヴィオラ・ダ・アモーレとバリトンは決して量産されることのない弦楽器づくり技術のオイシイところどりです。










Viola d'amore Bologna 12

 今回のロゼッタは羊皮紙をくり抜いたものを三層に重ねてこさえました。。

 最近は厚めの羊皮紙はめっきり手に入れにくくなり見つけた時はまとめ買いをしています。

 これは知り合いのミュージシャンよりわけていただいたものです・・・






Viola d'amore Bologna 13

ロゼッティーナの完成です。

rosa+etta+ina=rosettinaです。ちっちゃいバラ模様といったところでしょうか。。

 この位置に穴があると音がさらにopenになる感じです。一度チェロでも試してみたいですね。
 ガット弦の時代には特に大型楽器には有効だったのではないでしょうか。





Viola d'amore Bologna 14

旋盤が稼働始めました。そしてペリオド・ペグの制作。

ヴィオラ・ダ・モーレにはペグ14本。

 オリジナル楽器に合わせて西洋ツゲで作っています。
えのきだけのようにポコポコ生えていますが、コレでも3日がかりです・・



Viola d'amore Bologna 15

今回旋盤にて制作したペグと共鳴弦用のピンです。

 真鍮のピンは金工旋盤がなかった時は弓づくりのジョヴァンニ・ルッキにお願いして作ってもらいましたが、今回からは当工房にて製作できるようになりました。

 制作意欲の多い若い時期にこそできるだけ多くのものを生み出したいと思っています。





Viola d'amore Bologna 16

さて、ヴィオラ・ダモーレ本体は完成いたしました。

 いままで個々のパーツのみでの紹介でしたが、数日かけて楽器になります。
 垂れたこうべは一木造。布、羊皮紙も含めこの姿で162ピースあります。


楽器作家の夢の作品ヴィオラ・ダモーレ。完成間近です。











Viola d'amore Bologna 17

 モンタトゥーラ

 ニスを塗り終えました。今回より天然素材より抽出した染料を顔料化した色付けになりました。また一つ楽器づくりのふかみに入り込んで行っています。。。
 目立つ赤をイメージしてみましたが、ハデになり過ぎたかもしれません・・


 そして弦を張りはじめています。構造が若干複雑なため弦を張る順番やペグの巻き方など目をつむってはできない作業の繰り返しです。





Viola d'amore Bologna 18

完成したヴィオラ・ダ・モーレの一部をご紹介します。

 モデルはグイダントゥスからとっています。このエフに惚れまして、形になるまで2年の歳月がたちました。
 アレンジはもちろん盛りだくさん含まれていますが、博物館のオリジナル楽器には別の風情があるように感じます。

 さて、生涯どれだけの作品を残せるのでしょうか。。


はやと





Viola d'amore Bologna 19

 実に長い道のりでした。
ヴィオラ・ダモーレ最後の投稿です。

 丁寧に楽器をつくる。これだけです。

hajato