2.20.2014

fbまとめ 5弦チェロ・ピッコロ 2013


haja&Chi
イタリア ヴァイオリン チェロ 作家
永石勇人 清水ちひろ


2013.03.19 五弦チェロ・ピッコロ

haja&Chi工房にて、楽器の大改造が(も)進行中です。

 なんと子供用の分数楽器を5弦のチェロ・ピッコロ(バロック楽器)にカスタマイズするというプランです。
 チェロ弾きなら誰でも一度は憧れるE線をガット弦でオリジナルテイストにできるだけ近づけようと、ミュージシャンともくろんでいます。
 イロイロなアイディアを提案していただけるので夢広がっています。

 下の写真はCADによるダイアグラムを作成しているところです。
 楽器のプロフィールはクラシカルに鉛筆、消しゴムで書くことがほとんどですが、オーソドックスな楽器以外はすべてプロポーション、アングルなどを算出するためにCADは不可欠になってしまいました。
 モニターでは仮想指板についたバロック・ネックの角度やネック自体のテーパーなどを確認しています。

プティ設計図ですね。

 Labにはwindowsがあり計算機代わりにつかっています。


| ̄^ ̄* |


2013.03.20 
手術中01:継ぎネックの材


何ともあじけのない姿ですが、
これがチェロ用の継ネック材です。

 これが前回の写真のPCの脇にあるモダンアートみたいなオブジェになっていきます。

 ご存知方も多いとは思いますが、古い楽器は手術されてネックがすげ替えられてしまっています。


 古い楽器のネックをよーく見てみてください・・もし見えなければ腕のいい職人の手によって改造された証拠です(⌒▽⌒)/゜


2013.03.23 コーヒー

工房の隣にあるBar Ebbriにてコーヒーブレイク(*´∇*)
クリーム入り手作りクロワッサンで評判のお店。ヽ( ´`)

コーヒー豆はちょっと酸味のあるillyです。


2013.03.26 
手術中02:ネックがごっそりくりぬかれました。

 少しづつ接着面をキレイにしていっています。

修理人により様々ですが、今回はオーソドックスな3面合わせのネッククラフトにしました(━_━)ゝ 




2013.03.26
手術中03:杭状に削ったネック材を差し込みました。

 にかわを塗り接着し、通常の作業のようにペグボックスを彫り込んでいきます。ヽ( ´ ` )

 今回はガット弦なので指板が広く、幅広なネッククラフトになります。


2013.03.30
手術中05:バロック指板の接着

台のカーブをだしたら、曲げた黒檀の板を接着します。
平面なもののノリ付けはクランプなどを使うのですが、こういったカーブの連続するものは左上にチラリと見えるゴムを使います。


ミイラのようにグルグル巻きにしますo(@.@)o





2013.04.01
手術中07:駒の削り


 輪郭を切り落として大まかな厚みだし。。駒を割材から作るのはクレモナでもゆびおり程度・・・既製品では面白くありませんm(<>)m 


2013.04.02
手術中08:のりづけ後

 4つの木片からなる台と黒檀の板が合体し、5つの木片からなる指板がようやく形になりました。

ぐるぐる巻きのミイラ状態から開放されると『ほっ』っとします(●´ω●)





2013.04.05
手術中09: ODOME

 テールピースです。これまたオリジナルのマスターピースです。バロックのテールピースはモダンのそれより平たく幅広、時代それぞれ細部に色々工夫がされていて楽器の音を少なからず変えられたことも500年前から知られていたようですね
(〃 ̄ω ̄〃ゞ


2013.04.08
手術中:10 旋盤によるペグ制作

 クレモナ広しといえどペグまで工房製はhaja&Chiだけ。

 300年前のペグに感銘をうけ、復刻してみたのがきっかけでした。。
 フリーハンドで作っているために同じに作れず一本いっぽんにいびつの美があります。楽器を弾いていただく時にぜひ目を留めてみてください。
唯一無二のペグが付いているはずです
o(@^^@)o


手術中:11 旋盤終了後のつかの間の休息

 旋盤を使い終わるとこの通りまん丸ペグたちは立つ事も出来るのですw(*o*)w
こんな姿を見るのも珍しいですね。

出来る事ならモダンオブジェとしてこのまま部屋に飾りたい



2013.06.14
手術中12: ネックへの釘うち

お待たせしております、久々の投稿です。かなり空いてしまいましたが・・・

 ネックを差し込みバロック楽器さながらの釘を打ち込んでいます。
 元々はモダン楽器のためにほぞが掘ってありました。
もちろんこれも利用して"incastroinchiodatura"です!

2013.06.27

番外ですが・・

リュート用のカポタストをつくりました。
材料はもちろん、木と革とガットのみです。

Simple is bestとはまさにこのこと・・先人のアイディアにはいつも勉強させられます:
 ガットをネックに回してペグを回せばしまる機構です。

コンサートでの出番が待ち遠しいですね!




2013.08.01
手術中15: 古楽器のパーツ

 チェロ・ピッコロ用のパーツをまとめました。

 右側の大きなピンは”ボットーネ”と呼ばれていたエンドピンの前進です。昔はフルーツの木で作る事が多かったようですが、今回はペグ、指板に合わせて黒檀です。

 これを台の上や床に置いて弾く事もあったようですね。


2013.08.02
手術中16: コルディエラ

 チェロ・ピッコロ用のテールピースです。今朝TOROよりテールガットが届きました。これが本物のテールガットですね!
 今回は太めに320にいたしました。

 歴史的にもヴィオローネ、コントラバスの低弦のお下がりを使っていました。今でもたまにヴィオローネ奏者から譲ってもらっています。


2013.08.03
手術中17: 弦

 ガット弦ですね。下二本は銀の巻き線です。
上3本はシープガットにヴァーニッシュが塗ってあるものです。

 日本の気候にはこちらの方が長持ちするようです。toroの弦はpirastroなどに比べてハデではないものの素朴で質素な音がします。

 さて今回はどうなるのでしょう・・・





2013.08.05
手術中18: 音だし

 全部揃って弾けるようになりました。イメージ以上のレスポンスに満足しています。

石の建物で鳴らすと弦楽器になぜガット弦だったのかがよくわかります。
心地よいですね・・・♪ 



2013.08.22 ヴィオラへのヴァーニッシュ

 最新作のヴィオラのニス塗りもようやく終わりつつあります。粉顔料をオイルで溶いて色をのせます。

 古来より油彩画からの技術を取り入れてきました。


2013.08.28 グァダニーニ’チェロの横板

人気のあったグァダニーニタイプのチェロ。
前回の結果を踏まえての再挑戦です。

 夏も終わりかけ・・・日が落ちるのも早くなってきました。


2013.10.02

ごぶさたしておりました。

 一年ぶりに会うミラノ時代の友師ルカ・プリモン・・
久々なのに楽器の話しばかり、ニスのピグメントについて語っています。

 年末は顔料精製年越しになりそうです。


はやと




2013.10.06
手術中19 : 最後の日

 今日、日本へ向けてたちます。長い間ラボにいた五弦チェロもついにこれで最後です。


 おとなりのお屋敷で写真をとりにいきました。


haja(永石勇人)https://www.facebook.com/hajato.nagaishi