haja&Chi
イタリア ヴァイオリン チェロ 作家
永石勇人 清水ちひろ
誰かがいった。。
楽器は軽い方がいい・・・
最近の研究でもオールドイタリアの木材は密度が低いと。
しかし、いつからでしょうかヴァイオリンにアゴあてをつけて。。身体をこわした巨匠が肩当てを開発して。。鉄弦になったためにアジャスターをつけて。。。巻き線で指板が凹むために削れるように指板を全部黒檀にかえて・・
ヴァイオリンは歴史的に一度も軽くなったことなどありません。
そう、誕生したときが一番かるかったのです。
もちろん音がちがいます。音も軽くなります。明るくなります。
バロック後期までの指板は比較的短く、目安として弦長の3分2から4分3ぐらいです。
そして指板自体かなり軽いです。
メディチ家の絵画 当時としては長めの指板 描かれた年代からアマティのヴァイオリンの可能性も・・ |
もとの指板はどこに?といいますと19世紀に残っていたオリジナルの指板ですら交換されてしまいました。
今はどれも各国の博物館でのみみることができます。
あらたに作ったヴァイオリンの指板 2mm厚の黒檀が熱で曲げられて接着される |
当時から使用頻度の少なかった、テノール・ヴィオラ、ポシェット、5弦チェロ、ヴィオリーノ・ピッコロ、装飾楽器にはオリジナルの指板がそのまま残っていることも多く大変貴重な資料です。300年以上前の木工製品ですから本当に珍しいものです。
アマティの2代目。Antonius&Hieronymus Amatiのオリジナル指板 |
作り方は色々なパターンがありました。クレモナのなかだけでも年代、楽器のオーダー元?によって作り分けていたようです。
とにかく中を柳、フルーツの木で作るのが一般的で今の指板に比べて30%以上かるくなります。楽器の重心がかなり手前にくるので持ってみると予想以上に軽く感じるはずです。
小生が気に入っているスタイル 側面にメイプルを張り合わせたスプルースに黒檀を貼付ける。 4つの木からなる指板。軽くそして、意外に強い。 |
永石勇人