haja&Chi
イタリア ヴァイオリン チェロ 作家
永石勇人 清水ちひろ
フランス・ニースで活躍する日本人弓製作者の笹野光昭さんの工房を訪ねました。
クレモナを発った頃は雪に覆われた農地も、ニースでは街路樹のレモンやミカンがたわわに実りミモザの花は盛りを迎えていました。ニースの山の手、クリーム色の二つの塔がある建物の最上階にある笹野さんのアトリエは、丸窓からは海、反対の窓からは山が見え、作業場には天窓があり常に光が差し込む空間でした。
「海とニースの街が一望出来るんだよ。」とご自慢のアトリエを案内、説明して頂き、質問タイムはご自身が設置した対面キッチンにて美味しいコーヒーを頂きながら楽しいものとなりました。
作業場はドーム型屋根の中。笹野さんが直してニスを塗った螺旋階段をのぼります。「楽器作りと違って弓作りはそんなに広いスペースが必要ないからね。」と笹野さん。直径4m程の円形の空間で道具は自分の手の届く所に整理され、どれも皆いつでも使えるよう手入れされています。アメリカで買ったお気に入りの木製道具箱は抜群の使いやすさだそうで笹野さんの右足下にスタンバイ。作業台自体も楽器製作とは違いヴァイオリンの弓+αの横幅でコンパクト。
工具類は自分の道具を作ったりするのにとても便利とのこと。お手製の道具も多々あり、「自分の使いやすいものじゃないとね。」とのお言葉に深く共感しました。
ん?ナイフの柄が黒い…「黒檀です。端材でね。」こっちのノミの柄も…「自分で作ったものに2本線をいれてるんです。」う~ん、渋くて格好いい!
行き届いた整理整頓、自分に合った道具へのこだわり、こういう所「自分も見習わないと!」と改めて考えさせられました。
職人として大先輩にあたる笹野さんですが、とても気さくな方で弓制作には素人の私にも仕事の細かい事からドイツ~アメリカ~パリで働いていた頃の事など色々話してくださいました。
今日も柴犬『たきび』ちゃんとニースの街を行く笹野さんです。
Atelier Sasano http://msasano.perso.sfr.fr/%3fD-N%3bO=A/index.html