ヴィオラ ダ’モーレの内枠です!
10枚も横板がありそれぞれクビレています。
クビレの部分は補強無しの布ばりです。古楽器やかのストラディヴァリも使っていたテクです!
近年見直されつつあり当工房でもチェロに貼ることも・・・
さて、ヴィオラ ダ’モーレには色々な形があり作者のファンタジーによりけりです。
今回はイタリア、ボローニャの製作家のモデルですがドイツのフォームに似ています。
Viola d'amore bologna 02
横板の着いたヴィオラ ダ’モーレ・・・
いつもと違う横板まげに苦労いたしました・・
ヴァイオリンの比ではありません・・トホホ・・
少し込み入った状態。ニカワ無しの仮どめです。
大まかな輪郭を切り出しています。
いちばん苦手な作業のひとつ。。
肩はこるし、右手の中指の爪はガリガリに・・・もちろん最近は専用の台などもこさえましたが・・・・
手や爪の綺麗な楽器職人はそうそういません。
そろそろ仕事で体も変形してきました(( ̄_ ̄*)
裏板の荒削り
隆起はヴァイオリンの様なものをイメージしています。
今回の材は少しねっとりした感じでした。
横方向にやらかめでしたのいわゆるモード2が落ちやすくなります。楽器の形状は曲線が多く縦方向に固めですので#2と#5のバランスがとりにくくなると予想しています。。ゆくゆく五郎次郎。(@゚ー゚@)ノ
Viola d'amore bologna 05
↑
sguscia(ズグッシャ)と呼ばれています。なぜでしょう!?
皮や殻をむく事。ヴァイオリン製作専門用語。
楽器のふちの皮を”ホィッ”っとむく雰囲気です・・・
この行程はヴァイオリンなどでもおなじみの作業です。
この作業は結構好きです。。ヽ(=´▽`=)ノ
viola d'amore Bologna 06
隆起づくりをしています。いつもの等高線を引きながらの確認作業です。
削っては描き、削っては描き直しと、、気付くと辺りはとっぷり暮れて真っ暗に・・・
Viola d'amore Bologna 07
隆起が仕上がりました。いかがでしょうか・・!?
ヴィオラ・ダモーレは6~7弦張られるので弓の反しが効くように隆起を高くします。
ヴァイオリンよりも8ミリ高くなっています。とても立体的になり存在感がUPしますねヽ(=´▽`=)ノ
Viola d'amore Bologna 08
そして音響孔の仕上げ
この彫り込みはヴァイオリン、チェロなどにも施されていますね。
この返りのカーブこそ先人のあみ出したイタリアン・デザインの象徴です。
”なぜここに!?”の意外なタッチが出来上がった楽器に美しい陰影をつけます・・
音響のためなどとも諸説ありますが・・外観を重視するイタリア文化。”綺麗だから”のためだと信じています。
Viola d'amore Bologna 09
厚みだし・・語る事は多くはないのですが・・・
いつものようにいつもの方法で削っています。。
楽器の音は厚みよりも輪郭にかなり影響される手応えがあるので、今回のようなイレギュラーなモデルは手こずりました。
弦のテンションがモダン・ヴィオラの2倍近くになるので隆起との兼ね合わせで試行錯誤です。。
裏板の荒削り・・
”細か過ぎて伝わらない”ものの一つですが、裏板の右と左が色が違います。
ヴァイオリンでは避けたいこの光の反射の違いは木が斜めに切られると顕著になります。
今回はこの効果を狙って傾けて板を接着しています。
こんなところもヴィオラ・ダモーレです。
そして光輪が!
ヴィオラ・ダ・ガンバやごく稀にチェロなどにもついているロゼッタがはいります。
ヴィオラ・ダ・アモーレとバリトンは決して量産されることのない弦楽器づくり技術のオイシイところどりです。
Viola d'amore Bologna 12
今回のロゼッタは羊皮紙をくり抜いたものを三層に重ねてこさえました。。
最近は厚めの羊皮紙はめっきり手に入れにくくなり見つけた時はまとめ買いをしています。
これは知り合いのミュージシャンよりわけていただいたものです・・・
Viola d'amore Bologna 13
ロゼッティーナの完成です。
rosa+etta+ina=rosettinaです。ちっちゃいバラ模様といったところでしょうか。。
この位置に穴があると音がさらにopenになる感じです。一度チェロでも試してみたいですね。
ガット弦の時代には特に大型楽器には有効だったのではないでしょうか。
旋盤が稼働始めました。そしてペリオド・ペグの制作。
ヴィオラ・ダ・モーレにはペグ14本。
オリジナル楽器に合わせて西洋ツゲで作っています。
えのきだけのようにポコポコ生えていますが、コレでも3日がかりです・・
今回旋盤にて制作したペグと共鳴弦用のピンです。
真鍮のピンは金工旋盤がなかった時は弓づくりのジョヴァンニ・ルッキにお願いして作ってもらいましたが、今回からは当工房にて製作できるようになりました。
制作意欲の多い若い時期にこそできるだけ多くのものを生み出したいと思っています。
さて、ヴィオラ・ダモーレ本体は完成いたしました。
いままで個々のパーツのみでの紹介でしたが、数日かけて楽器になります。
垂れたこうべは一木造。布、羊皮紙も含めこの姿で162ピースあります。
楽器作家の夢の作品ヴィオラ・ダモーレ。完成間近です。
モンタトゥーラ
ニスを塗り終えました。今回より天然素材より抽出した染料を顔料化した色付けになりました。また一つ楽器づくりのふかみに入り込んで行っています。。。
目立つ赤をイメージしてみましたが、ハデになり過ぎたかもしれません・・
そして弦を張りはじめています。構造が若干複雑なため弦を張る順番やペグの巻き方など目をつむってはできない作業の繰り返しです。
完成したヴィオラ・ダ・モーレの一部をご紹介します。
モデルはグイダントゥスからとっています。このエフに惚れまして、形になるまで2年の歳月がたちました。
アレンジはもちろん盛りだくさん含まれていますが、博物館のオリジナル楽器には別の風情があるように感じます。
さて、生涯どれだけの作品を残せるのでしょうか。。
はやと
Viola d'amore Bologna 16
垂れたこうべは一木造。布、羊皮紙も含めこの姿で162ピースあります。
楽器作家の夢の作品ヴィオラ・ダモーレ。完成間近です。
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目立つ赤をイメージしてみましたが、ハデになり過ぎたかもしれません・・
そして弦を張りはじめています。構造が若干複雑なため弦を張る順番やペグの巻き方など目をつむってはできない作業の繰り返しです。
Viola d'amore Bologna 18
アレンジはもちろん盛りだくさん含まれていますが、博物館のオリジナル楽器には別の風情があるように感じます。
はやと
Viola d'amore Bologna 19
実に長い道のりでした。
ヴィオラ・ダモーレ最後の投稿です。
丁寧に楽器をつくる。これだけです。
hajato
haja(永石勇人)https://www.facebook.com/hajato.nagaishi