1.14.2013

ヴィオラ復刻企画 〜ヴィオラ・テノーレ、アモーレ〜


 haja&Chi
イタリア ヴァイオリン チェロ 作家
永石勇人 清水ちひろ


2013年、haja&chiではヴィオラ復刻企画を実行中です。
「何故ヴィオラ!?」とお思いの方も多いかと思います。



 日本ではヴァイオリン、チェロに比べ演奏者数も少なく地味目な存在のビオラですが、実はかなりのオシャレ番長だったのです。

 皆さんが普段弾いている「ヴィオラ」の他に様々な種類、形、大きさの楽器があります。そもそもヴィオラとはロマンス語における弓弦楽器の総称です。


ヘッドの削りだし途中 18世紀の製作家にはノミのあとのがのこる渦巻きも多く残っています
今回は新作とい
う事もありこのあとはスクレーパー仕上げ予定



 具体的な制作予定楽器はその中でも特に有名な…

モダン(440Hz)
●胴長40センチのヴィオラ。本体はグァダニーニモデル(トリノ)使用。アラマンニの装飾を楽器胴体部分に施す予定です。
●胴長44、5センチのヴィオラ・ポンポーザ(別名ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ)。調弦はチェロと同じ音程のド、ソ、レ、ラになります。
 モデルはNational music museumにあるサロ?ブレッシャ派のヴィオラをモティーフにしています。

バロック(415Hz)
●胴長48センチのヴィオラ・テノーレ。バロック使用で調弦は415HZで低弦よりファ、ド、ソ、レ又はソ、レ、ラ、ミになる予定です。これは往年のストラディヴァリのテノーレ”Medicea”モデル、1690年にフィレンツェの銀行家メディチ家のためにあつらわれた傑作クインテットの一つでした。
●胴長40センチのヴィオラ・ダモーレ。グイダントゥス(ボローニャ)モデル使用。ラ、レ、ラ、レ、ファ、ラ、レに共鳴弦を7本もつアラビックな響き。(ビオラ・ダモーレの曲の多くはスコルダトゥーラをする事が多いのでこちらはあくまで基本形です)

 
 
Viola (modern)   Viola pomposa   Viola d'amore   Viola tenore
 


 ビオラの魅力にすっかりのめり込んだ?工房長を筆頭に『ヴィオラをとことん追求してみよう!』と色んなヴィオラが盛りだくさんのこの計画がこうして生まれたのです。 

 でもテノーレって胴体だけで約48センチもあるわけで…左手届くのかなぁ?



板の削りだし後、ヴィオラ・ファミリー



 ちなみにヴィオラの語源は中世の弦楽器viella(ビュエッラ)からきています。後にイタリア語で弓で弾く楽器をviola(ヴィオラ)と呼ぶようになりヴィオラ・ダ・ブラッチョ(腕)族とヴィオラ・ダ・ガンバ(足)族に別れます。そしてその後、腕のヴィオラの中の音域の高いヴィオラは弦長の関係で箱が小さくなり、小さいヴィオラ→”ヴィオリーノ”の完成です。15世紀後半にガルダ湖とパダーナ平原のブレシア、ヴェローナ、マントヴァ、クレモナで起こりました。